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「またも」の大統領スキャンダル 背景に韓国の血縁のしがらみ 본문
【ソウル=黒田勝弘】韓国の盧武鉉前大統領は30日、検察当局に出頭し、深夜まで取り調べを受けた。容疑は在任中、知り合いの会社経営者から家族がらみで外貨600万ドル(約5億8000万円)を「包括的わいろ」として受け取ったというもので、退任大統領が金銭疑惑で調べられるのは全斗煥、盧泰愚両元大統領以来のことだ。
盧前大統領は退任後、故郷の金海市(釜山近郊)に引きこもっていたが、この日、最高検に出頭するにあたって「国民の皆さんに面目ない。失望させて申しわけない」と述べ、ソウルに向かった。
しかし、権力を背景にした家族がらみの金銭疑惑は、それぞれ息子が逮捕された金泳三・金大中元大統領の時を含め歴代政権で起きている。後を絶たないこうした“大統領疑惑”の背景には、大統領をはじめ韓国社会が家族など血縁のしがらみを抜けきれないことや、権力とその周辺にむらがって利を得ようとする強い縁故主義に支配されていることがある。
今回の「盧武鉉スキャンダル」の場合、すでに大統領の実兄が贈収賄容疑で逮捕されているほか、夫人には大統領官邸で外貨100万ドルを受け取った疑惑が出ている。さらに息子や「めいのムコ」などには500万ドル授受の容疑が持ち上がるなど、多くの大統領ファミリーが登場している。
疑惑としてはこのほか大統領在任中、還暦祝いとして夫妻でプレゼントされた1個1億ウォン(約700万円)のスイス製ブランド時計や、大統領秘書官の公金流用なども問題になっている。
今回のワイロの主人公は盧武鉉一家と昔から親しいスポーツシューズ製造などで知られる同郷の中堅企業経営者、朴淵次・泰光実業会長(逮捕済み)で、これまで盧氏の政治活動や生活を支援してきた人物。朴会長は事業拡大などで“盧ファミリー”を利用しようとしたとみられている。
今回の前大統領疑惑は、脱税などでまず逮捕された朴会長が、自らの“保身”のため暴露したことから前大統領の取り調べにまで発展したようだ。
高卒弁護士出身で庶民風政治家として知られた盧武鉉氏は、左派・革新系の市民団体などの熱い支持、応援で大統領に当選。在任中(2003-08年)は清潔・改革を看板に、エリートや企業・官僚・金持ちへの憎悪に近い批判を繰り返し、親北朝鮮的で外交的には反米・反日発言などしばしば話題を呼んだ。
今回の金銭疑惑について元側近たちは「過去の保守政権の巨額不正政治資金に比べると額は小さく“生活型”だ」と弁明している。これに対しては早速「超高級ブランド時計が生活に関係があるのか」と世論は反発している。
清潔と庶民の味方が売り物だった盧武鉉前政権のイメージダウンは決定的で、政権を支えた左翼・革新勢力には大きな痛手だ。盧武鉉氏は政治生命を絶たれたに等しいが、“たたき上げ人生”で大統領にまでなった人物だけに、今後の法廷闘争など巻き返しに注目する向きもある。
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090430/kor0904302007008-n2.htm
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