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世界的半導体不足で自動車減産、新型コロナで需要急変への対応困難 본문
世界的な半導体不足で国内外の自動車メーカーが減産に追い込まれている。新型コロナウイルス感染拡大に伴いパソコンやゲーム機向けなどの需要も急増し、半導体メーカー側が対応しきれていない事情がある。自動ブレーキや運転支援など機能の高度化で、1台あたりに使用する半導体の使用量が増えていることも背景にある。業種を超えた半導体の争奪戦が見込まれる中、製品不足が長期化する可能性もあり、海外依存体質の日本企業は在庫計画の見直しが急務だ。
半導体不足を受け、トヨタ自動車は米国で1車種の減産を決め、ホンダは1月に小型車「フィット」などを国内で月4千台ほど減産する。日産自動車も小型車「ノート」の生産を1月に数千台減らす。海外では16日にフランス大手グループPSAと合併手続きを完了したフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)などが軒並み生産調整を決めた。
半導体はさまざまな機器の動きを制御したり、データを記憶したりする電子部品で「産業のコメ」とも呼ばれる。パソコンやゲーム機の頭脳にあたるCPU(中央演算処理装置)が代表例だ。エンジンの制御やカーナビなどにも使われ、今や自動車の生産にも不可欠な部品になっている。
業界団体の世界半導体市場統計(WSTS)によると、コロナ禍でも「巣ごもり消費」や第5世代(5G)移動通信システムの投資増などで、半導体市場は2021年には前年比8・4%増の4694億ドル(約50兆円)と、過去最高を更新する見込みだ。
コストを削減するため、CPUなどの半導体メーカーの多くは最新製品の設計に注力し、生産の一部は「ファウンドリー」と呼ばれる外部の受託製造会社に委託する傾向にある。
ファウンドリーは巨額の設備投資をしながら、需要動向によって種類の違う半導体製品を作り分ける。
今回は、新型コロナ禍で需要が伸び、先に受注していた家電や通信向け半導体を増産していた。そこに自動車生産が数カ月で急激に増減したため、ファウンドリーは自動車向けの受注に十分に対応しきれていないという背景がある。
業界関係者によると、自動車向けは安全性を重視し故障の少ない製品が使われることが多いという。英調査会社オムディアの杉山和弘コンサルティングディレクターは「性能が同程度の自動車向けと需要が増えた家電向けなどが競合した可能性がある」と指摘する。
半導体は製造工程が多く、新たなラインを組むには数カ月以上かかり、市場逼迫(ひっぱく)の状況は「1年くらい続くのではないか」(杉山氏)とみられている。
事態が長期化して困るのは半導体の調達を海外メーカーに頼る日本企業だ。半導体市場は米国や韓国のメーカーが席巻しており、ファウンドリーも「台湾積体電路製造(TSMC)」など海外勢が台頭する。
政府は「各国の状況を常に注視している」(経済産業省関係者)と当面は静観する構え。杉山氏は「新型コロナのような危機的状況も想定した在庫計画が必要だ」と警鐘を鳴らす。
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