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Guide Ear&Bird's Eye/북한[PRK]

金総書記を裁判にかける日は来るのか

CIA Bear 허관(許灌) 2010. 3. 7. 21:42

 

日本の朝鮮半島統治下の1919年に起きた「3・1独立運動」を記念したデモ行進で、金正日総書記と後継者とされる息子の金ジョンウン氏の写真を掲げて北朝鮮を糾弾するスローガンを連呼する韓国の人々=3月1日、ソウル(AP)

 

 韓国情報院は2月23日、北朝鮮金正日キムジョンイル)総書記(68)について、「顔面のシミを取り除くなど健康に見せようと努力している」との見方を示した。68歳ながら整形に踏み切り、国家になおも君臨しようとする意気込みは見上げたものだ。ただその前日、韓国の「大韓弁護士協会」主催で開かれた第1回人権・環境大会で、金総書記を国際刑事裁判所(ICC)の裁判にかけられるかが討論された際に、人道に反する犯罪で「裁判は可能」との見解が示された。金総書記は、うかうかしていられないに違いない。

意義深い「公論化

 

 「裁判は可能」との見解を示したのは、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)の副所長を務める権(クォン)五坤(オゴン)氏(韓国出身)。権氏は2001年、韓国の法曹として初めてICTYの裁判官に選出され、08年から現職に就いている。

 2月23日の韓国紙、朝鮮日報(電子版)によれば、権副所長は人権・環境大会で、「北朝鮮はICC加盟国ではないため、ICCは規定上、独自に北朝鮮を調査したり、(人々を)起訴したりすることはできない」と指摘しつつも、「韓国軍捕虜の問題や、韓国人と日本人拉致問題に関する限り、当該犯罪はICC加盟国で発生しているため、ICCが管轄権を行使するための前提条件を満たす」と強調。韓国と日本が意志を持って臨めば、金総書記を裁判にかけることは可能、との見方を示した。

権副所長によれば、ICCは規定上、02年以降の犯罪のみを扱うが、韓国人と日本人の拉致問題については、北朝鮮が拉致被害者の送還を拒否しているため、犯罪が継続しているとみなすことができるという。

 韓国紙、東亜日報の方(パン)炯南(ヒョンナム)論説委員は24日の分析記事(電子版)で、権副所長の見解に触れ、「大韓弁護士協会の行事で、北朝鮮の反人道的犯罪への裁きの可能性が『公論化』されたことは意義深い」と論じた。

ICCには限界も

 

 スーダン西部のダルフール紛争にからんで昨年3月、スーダンのオマル・ハッサン・アハメド・バシル大統領(66)の逮捕状を発行したICCに対しては、韓国と海外の人権団体の組織「反人道犯罪調査委員会」が昨年末、脱北者ら約 150人への弾圧内容を記した告発状を提出し、金総書記への処罰を求めた。

 ただ、2月24日の朝鮮日報(電子版)が指摘するように、「ICCが逮捕状を発行しても、当事国(北朝鮮)の司法当局が協力しなければ意味がない」のは否定できない事実だ。ICCに米国などの大国や、アラブ諸国などが参加していない状況下で、ICCが実際に力を発揮することも難しいといえるだろう。

キング牧師の名言

 

 それならば、国連安全保障理事会に頼ろうとの声もあり、東亜日報の方論説委員は「安保理が乗り出し、裁判の管轄権を持つことも可能だ」と指摘する。常任理事国の中国が拒否権を行使するのは確実だとはいえ、金総書記への処罰を求める声が強まれば、北朝鮮への大きな圧力となっていくのは間違いない。

 方論説委員は「(米人権活動家の)マーチン・ルーサー・キング牧師(1929~68年)は、『最大の悲劇は、弱い人々の激しい叫びではなく、善良な人々の身の毛もよだつ沈黙だ』という名言を残した。善良な人々が立ち上がって叫んでこそ、北朝鮮の人権を改善することができる。統一後であっても、北朝鮮指導部の反人道的犯罪を処罰するためには、地道に(犯罪の)証拠を集めていく必要がある」と指摘している。

(国際アナリスト EX)