「驚くべき奇跡」韓国与党公認復活の金文洙候補が届け出 韓前首相と抱き合い和解演出も
韓国の保守系与党「国民の力」に大統領選候補の公認を取り消されながら、再び公認資格を回復した金文洙(キム・ムンス)前雇用労働相が11日、中央選挙管理委員会に与党公認候補として立候補を正式に届け出た。届け出を終えた金氏は「必ず当選し、韓国を偉大な国にすることに最善を尽くす」と述べた。
支持率で大きくリードする革新系最大野党「共に民主党」公認候補の李在明(イ・ジェミョン)前代表は10日に立候補を届け出た。12日に選挙運動が正式にスタートし、投開票日の6月3日まで3週間余りの選挙戦が展開される。
ただ、保守系候補の一本化を巡り、金氏と与党執行部が激しく対立。金氏は大統領選本戦の準備も大幅に出遅れており、劣勢からのスタートを余儀なくされている。
金氏は党内予備選を経て3日の党大会で公認候補に選出された。与党は無所属で出馬表明した韓悳洙(ハン・ドクス)前首相と保守系候補の一本化を目指したが、金氏が党が求める早期一本化を拒否したため、党執行部は10日未明に公認を取り消し、韓氏を新たな公認候補に擁立しようとした。
ところが、候補交代の賛否を問う10日の党員投票の結果、反対多数で交代案が否決され、金氏が公認候補として復活する異例の経緯をたどった。執行部の強引なやり方に党内から批判が噴出した。
金氏は11日、交代案の否決に関し、「驚くべき奇跡が起きた」と語った。
一方、選挙から撤退することになった韓氏は11日、記者会見で「全て謙虚に受け入れる。金氏の勝利を祈る」と述べた。金氏の選挙事務所も訪れ、直接応援の意を伝えた。金、韓両氏は候補一本化の協議で互いに批判し合い、協議は決裂していたが、この日は抱擁し合い、和解を演出しようともした。
韓国与党がドタバタ 公認候補交代に失敗して党トップは辞意、金文洙氏が候補復活へ
韓国の保守系与党「国民の力」は10日未明、6月3日の大統領選の候補に選出した金文洙前雇用労働相の公認を取り消したと発表した。党執行部は無所属で出馬表明した韓悳洙前首相を新たな公認候補に交代させる手続きに着手。10日に全ての党員を対象に候補交代の賛否を問う投票を実施した結果、反対多数で否決された。
党トップの権寧世非常対策委員長は、保守系候補の早期一本化に難色を示した金氏を強引に引き降ろそうとし、失敗した責任を取って辞任すると表明。革新系最大野党「共に民主党」公認候補の李在明前代表に大きくリードされる中、与党指導部は、候補の一本化で支持拡大を図ろうとしたものの、強引な手法には、党内からも激しい批判が相次ぎ、かえって大きな混乱をもたらした。
中央選挙管理委員会への候補届け出は11日が期限で、金氏の公認候補資格が復活され、金氏が与党候補として出馬する可能性が高い。
執行部の候補交代手続きに対し、金氏は10日、記者会見で「正当に選出された候補資格を剝奪した政治クーデターだ」と執行部を非難し、「不法な候補交代に法的、政治的措置を直ちに取る」と表明した。公認取り消しの効力停止を求める仮処分を同日、裁判所に申し立てていた。
12日から正式な選挙戦がスタートするが、党執行部と金氏の対立は深刻化しており、与党陣営はしばらく混迷から抜け出せそうにない。
「非常戒厳」を宣布した尹錫悦前大統領の弾劾に反対してきた金氏は、尹氏の支持層ら強硬保守派の支持を集めてきた。
金氏は党内予備選に参加した候補のうち、韓氏との候補一本化に最も前向きな姿勢を示してきたが、3日に公認候補に選出された後、消極姿勢に転じ、執行部が求める早期の一本化を拒否。7日から韓氏側と断続的に協議したが、決裂した。